節分の頃に、玄関の扉脇にいわしが葉っぱとともに飾られている。そういう光景を見た事のある方もいると思います。なんで玄関にいわし?!と思いませんでしたか。それは昔、鬼が入ってこないように玄関に飾る。「魔除け」のようなものだったようです。
実はこの風習(風俗習慣)、習慣は日本全国的ではない風習、習慣のようです。
1. 「節分にいわし」の由来とは?
節分では、「豆をまいて鬼に見立てた邪気を払うもの」が主流になっていますよね。そのほかに邪気を払うものとして、焼いたいわしの頭を柊(ひいらぎ)の小枝に刺し、家の玄関に飾って魔除けにしていた事をご存知でしょうか。
「節分いわし」とも呼ばれていますが、これは「いわし」の頭を柊(ひいらぎ)に刺して玄関などの入り口に飾る事で、鬼=邪気を払うというもの。
いわしは焼くと臭いが強く、その煙を鬼が嫌うと言われています。頭部分を使うのは、その部分を使うと臭いが強くなるという理由らしいです。
また、柊(ひいらぎ)に刺す理由は、柊(ひいらぎ)のトゲが鬼の目に刺さって家に入れないようにするためだそうです。
節分の日はいわしを飾るだけではなく、地域によってはいわしを食べる風習もあるそうです。
現在では節分の日の食べ物としては、恵方巻きの方が知られているように感じるのは、私だけでしょうか。
この風習が元でできた諺(ことわざ)が、『いわしの頭も信心から』です。
意味は
豆知識
この諺(ことわざ)は有名ですから、ご存知の方も多いですね。
2. 節分いわし、地域によっては知らないところもある?
節分にいわしを飾るのは、どうやら関西の風習のようです。
私は関東の出身ですが、たまたま実家や近所で飾っていたので、いわしと柊(ひいらぎ)の事は知っていました。そして、節分いわしも、節分用の豆とともに、その時期はスーパーに置いてあったと思います。
関東でも飾らないわけでないようですが、馴染みが薄いようで、知っている人も少ないため、売り場でも隅の方に置かれているのを、偶然見かけました。
関西地方の中でも特に奈良では、節分いわしを飾っているのを見かけるようです。でも、やはり昔ほどは見かけなくなってきているのが実情のようです。
飾るのは節分から立春までが最も多く、地域によっては小正月から節分までの場合もあります。飾り終えたいわしの頭と柊(ひいらぎ)は、紙に包んで塩で清めて捨てるか、神社のどんど焼きで処分します。
さすがに「魔除け」ですから、そのままゴミ箱にポイっとはしづらいですよね。
3. 飾るよりも、食べる?!地域により異なるいわし事情
関西の方が馴染みがあるとされる「節分いわし」。飾る事はしない場合でも、節分にいわし料理を食べるというところもあるそうです。
鬼を払う事を考えたら、塩焼きにするのが一番良さそうですが、栄養価で考えるとマリネにしたり、できるだけ生で食べた方が良さそうですね。
飾る場合、必要ないわしの部分は「頭」のみ。切り落として頭はこんがり焼き、残りは焼いたり煮たりし、美味しく頂きたいものですね。
せっかく由来がある「節分いわし」。昔からの風習には何かしらの意味があるものが多いので、その意味を知った上で取り入れてみると、さらに理解が深まるかもしれません。